私の所属している研究開発部は、製法の定まっていない化合物の合成経路の確立や、中・大規模生産に向けた製造プロセスの検討・改良を担当しています。担当する案件によって合成スケールも様々で、フラスコを用いる数gの合成からタンクを用いる数kgの合成まで幅広く行っています。また、医農薬品原料や電子材料、機能性材料等の多種多様な化合物の合成に携わることができ、有機合成が好きな私にとって非常に楽しい仕事内容です。
関わった仕事で一番印象に残っていること
製品化まで10工程もある不安定化合物の大規模生産に向けて、その製造プロセスを検討・改良した仕事です。大規模生産時に問題となるプロセスはどこか、中間体を安定に保管できるステップはどこか等を各工程で念入りに検討し、安全や品質が担保できるよう試行錯誤し約半年をかけて改良していきました。大規模生産した際に、その改良部分が役に立ったと製造部から聞いた時は大変うれしく感じました。
当社に決めた理由
当社を創設した当時の会長や社長の人柄に魅かれたからです。会社説明会や面接時には、時間を気にせず私の話を丁寧に聞いてくださり、また会社の在り方について熱量を持ってお話する姿から、この方々と一緒に働いてみたいという気持ちが強くなりました。
さらに、当社は多種多様な反応を安全に実行でき、多分野に渡る化合物の合成実績があることから、有機合成に対する高い技術力を感じたことも入社の決め手となりました。
入社前の不安と現在
入社前に一番不安だったのは、大学時代に所属していたと研究室とは合成スケールが異なることです。研究室では最大でも1Lフラスコまでしか経験がなかったため、入社当初は大きな反応装置を取り扱えるようになるイメージが全く湧きませんでした。先輩社員の方々のご指導のおかげで、現在では大きな反応装置も取り扱えるようになり、60Lタンクスケールの合成も楽しみながらこなせるようになりました。
仕事をする上で心がけていること
私はマルチタスクが苦手なため、時間を有効利用したタスク処理を心がけています。有機合成では、反応中や後処理で分液を待つ間、溶媒の濃縮中等、様々な部分で隙間時間が生じます。その時間で処理できるタスクは何かを考え、優先順位の高いものから処理していきます。例えば、隙間時間が5分なら簡単なメールへの返信を、1時間なら不純物同定のスペクトル解析といったような具合です。抱えているタスクを可能な限り減し、頭の中をクリアにして有機合成に取り組めるようしています。
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